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担当者コラム

第十七回 横浜にぎわい座「夏のこども寄席」

2017.07.29

『子どものいる風景~活動現場から』レポート第17号は、「横浜の寄席(よせ)」横浜にぎわい座の夏の恒例企画「夏のこども寄席」をご紹介します。

 

「夏のこども寄席」は、毎月1日から7日までの昼公演として開催している「横浜にぎわい座有名会」の夏休み特別企画です。普段は、大衆芸能や寄席という空間には「敷居(しきい)の高い」イメージがあるかもしれませんが、この公演では、小中学生でもしっかり理解して、たっぷりとお楽しみいただける演者と演目をそろえてお贈りします。

 

大衆芸能の専門施設である横浜にぎわい座では、毎月1日~15日に日替わりで落語(らくご)・講談(こうだん)・漫才(まんざい)・奇術(きじゅつ)などの公演を開催しています。その中でも、「有名会」は、毎月7日間にわたって開催する定例の企画です。「有名会」は、寄席の伝統的な形式に則った構成になっていて、落語を中心として、その間に「色物(いろもの)」が登場します。「色物」とは、太神楽曲芸(だいかぐらきょくげい)、奇術、漫才などの演芸のことです。昔は、「めくり」の文字を、落語は黒、その他の演芸は朱墨で書いていたため、このように呼ばれています。

 

なお、「めくり」とは、舞台上に掲示される、芸人の名前が書かれている紙のことです、「寄席文字」という独特の書体で書かれています。

 

 寄席文字

まねき猫

 

さて、「夏のこども寄席」は、年に1回のこども向け企画ですから、公演までの導入にもひと工夫。入り口には、客寄せパンダならぬ、可愛い「まねき猫」でお出迎え。さらに、普段はまじめな影ア ナウンスでの注意コメントに代わって、林家つる子さんと三遊亭遊松さんの前座さんコンビによるトーク仕立てで、開演前の注意事項を説明してもらいます。

 

開演前の説明

 

なお、「前座(ぜんざ)」さんは、落語家の位で一番下の位です。今回の「こども寄席」では出番がありませんでしたが、通常は「開口一番(かいこういちばん)」と言って、公演の一番最初に演じます。また、楽屋の雑用のほか、開場・開演などの合図となる太鼓などの楽器も担当します。この日も、舞台袖で叩いてくれています。

 

太鼓

 

いよいよスタートした公演の前半は、柳亭こみちさんによる落語「お菊の皿」。奇術のマジックジェミーさん。さらに、落語で山遊亭金太郎師匠の「田能久(たのきゅう)」と続きます。柳亭こみちさんは、「前座」の1つ上となる「二ツ目(ふたつめ)」という位の方。古典的な怪談の「皿屋敷(さらやしき)」が元ネタの演目をコミカルに演じてくれます。奇術のマジックジェミーは、赤い髪にサングラスのお姉さん。ステージに上がってくれた少年と一緒にマジックを披露してくれました。前半の最後(寄席では「中トリ(なかとり)」と言います)の金太郎師匠は、落語家の位としては最上位となる「真打(しんうち)」です。「ウワバミ(蛇の化け物)」も出てくるちょっとファンタジーなお話しを、「ハメモノ(三味線・太鼓などの鳴り物(なりもの)の演奏を入れた演出)」付きで演じてくれました。

 

仲入り(なかいり・寄席では休憩をこう言います)を挟んだ後半は、三遊亭遊喜師匠の落語「看板の一(かんばんのぴん)」に、色物が太神楽曲芸の翁家勝丸さん。そして、春風亭一朝師匠の「転失気(てんしき)」。遊喜師匠と一朝師匠も、もちろん真打の落語家さん。ちなみに、真打になると弟子を取れるようになります。

 

さて、遊喜師匠のさいころを使った賭博を題材とした「看板の一」ですが、「こども寄席」なのに賭け事が登場して許されるのも、古典落語ならではではないでしょうか。また、翁家勝丸さんは、指を怪我しているから失敗してもご容赦をと、本気かウソか分からない発言をしながらも、茶碗や傘を使った妙技を披露してくれました。「トリ(その日の最後の出番の方)」となる一朝師匠の「転失気」は、普段は「前座噺(ぜんざばなし)」として、若手が演じる演目です。しかし、さすがは一朝師匠、知ったかぶりする和尚様や、いたずらを仕掛ける小坊主さんたちのキャラクターの描写がお見事でした。もちろん「転失気=おなら」という、ちょっと下品なお話しに、こどもたちも大爆笑でした。

 

エントランス正面

 

毎年恒例の「こども寄席」。今年もたくさんの「こども」と、「かつてのこども」たちにご来場いただきました。夏の暑さや冬の寒さから、日常のつまらない気分まで、「笑い」は何でも解消してくれます。

笑いたい時には、横浜にぎわい座。いつでも気軽に遊びに来てください!

 

今回担当者

横浜にぎわい座  堀 利文