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担当者コラム

第十四回 嬉しいお手紙 ~親子のフリーゾーンに参加したご家族から~

2017.09.21

横浜美術館は今年で開館25周年を迎えます。開館当初から子どものアトリエで変わらず続いている定番プログラム、それが「親子のフリーゾーン」です。月3回日曜日に開催しているこのプログラム、毎回お父さん、お母さんが小さなお子さんの手を引いて、大勢のご家族が訪れてくださっています。

 

この時間にスタッフの私たちが行うことは、親子で安全に楽しむための会場づくりや素材の準備がメイン。そのため、500人以上の参加者がいる会場の中で、実際にどのようなやり取りがあって、その後フリーゾーンでの体験がどのように子どもたちの日常生活にかえっているのかを知る機会はなかなかありません。

ところが先日、フリーゾーンにいつも来てくださっているご家族のお母さまから、とても嬉しいお手紙をいただきました。

※お手紙をくださった「こうたくんのお母さん」のご了承をいただき、以下ご紹介させていただきます。

 


 

月1・2回、親子のフリーゾーンでお世話になっております。

親子のフリーゾーンでの活動のその後、お家での展開をご報告したくて

一方的なメールをお送りしております。

 

 最初は手を洗ってばかりだった絵の具ゾーンでも、

半年くらい赤の絵の具しか使わなかった息子も

昨年秋(3歳半)から絵の具やさんでいろいろな色をオーダーできるようになったり、

初対面・初めての場所はちょっと緊張しがちだったのに、

粘土ゾーンでは、偶然お隣になったお友達と異様な盛り上がりをみせたり、

母である私自身も絵具や粘土や工作を楽しみながら、

こどもの成長もちょっとずつ感じつつ、のんびり楽しく利用させていただいております。

 

おうちでのちょっとしたお絵かきや工作の幅も広がりました!

先日、おうちにあるモザイクのクレヨンでらくがき帳に色を塗りたくっていたら

「虹みたい!→『にじいろのさかな』(絵本)みたい!→にじうお作ろう!」と思いついたらしく突如工作がスタート。

魚はママ描いて!とやらされたものの、その後、数日机に置き去りの魚たち…

これまた突如、

「こいのぼりみたいに棒付けたら泳げるかな?」と言って紐をつけさせられ(竹ひごは見つからず紐のみ)、

振り回して泳がせてみたら海が欲しくなったようで、

「横浜美術館のあそこでさー、海作りに行こうよ!」と自ら発案。

自作の「にじうお」持参で先週のフリーゾーンに海を描きに伺ったというわけです。

 

 
そして、

無理を言って描いた海の部分を頂いてきて、

お家に「にじうおの海」が完成しました!!

 

 

想定以上の大作になってしまったので、どうしてもご報告したくてメールした次第です。

 

実際「海」を作ってみると、

にじうおなんだからキラキラうろこがなくちゃ、とか

もっと魚を増やそう、とか、

魚の獲物(餌の意)も作らなくちゃ、とか、どんどん空想もパワーアップ。

昨日も寝ながら「イソギンチャクもいたらいいかな?」と呟いていました。

 

 

いつもお気に入りの作品はなかなか捨てられず、

ようやく秋に作った剣と王冠はお蔵入りさせられたのに、

冬に「ぐりぐら展」を見に行く直前に作った段ボールのお家、自称「ぐりとぐらのお家」には現在別の住人が入居したらしく未だ活躍中です。

こうなることは想像できたはずなのに無理言って頂いてきてしまったこの大きな海、この後どうしましょう…。

 

 

この規模で絵の具で遊ぶ体験はなかなかできませんし、

未だに自宅で絵の具を自由に使わせる勇気は持てませんし、

自作の小麦粉粘土は硬さがいまいちですこぶる不評でしたし、

私自身も「工作は色画用紙がなくてもカタログやチラシでも充分楽しめるんだ!」という気づきになりました。

本当にこの活動に感謝しています。

 

長文失礼いたしました。

これからも最大限に(?)活用させて頂きます。

よろしくお願いいたします。

 

 

「こうたくんのお母さん」 より

 


 

子どものアトリエが常に大事にしている理念、― それは、子どものアトリエで行う描きつくり鑑賞する活動は、「芸術家の育成」が第一の目的ではなく、「自分の目で見て、自分の手で触れ、自分でする」という自意識の獲得であるということです。そのような活動を「どう?やってみない?楽しいよ!」と、子どもたちやご両親に提供するのが私たちの仕事です。

 

こうたくんはご家族にあたたかく見守られ、子どものアトリエも活用しながら、日々お母さんと一緒に楽しいことを発見しているのですね。

 

子どものアトリエでの経験が、一人でも多くの子どもたちが育っていくための栄養としてしみこんでいけば良いなぁ…。

いつもそのように願ってやまない子どものアトリエスタッフたちにとって、このようなお話をうかがえることが何よりの活力源になっています。

 

 

追伸:ちなみに、こうたくんの「ぐりとぐらのお家」は、その後ふたたび親子のフリーゾーンに持ち込まれ、増築されたそうです。2階建ての豪華な和風の邸宅だそうで、ワタクシ、迷わず入居の申込みをさせていただきました!

 

 

横浜美術館 子どものアトリエ 

岡崎智美